2016年5月24日

性行為感染症(STD)


性交渉によって感染する病気はいろいろあり、セックス、オーラルセックス、アナルセックスなどあらゆる性行為で感染します。

回は、性器クラミジア感染症淋菌感染症性器ヘルペス尖圭コンジローマについてお話しします







2002年をピークに性器クラミジア感染症、淋菌感染症は減少傾向にあり、近年は横ばいとなっています。しかし、10歳台、20歳台の感染者はいまだに多く、いろいろな問題を引き起こします。



1. 性器クラミジア感染症

クラミジアトラコマティスという病原体により感染します。女性の80%が無症状なので、知らないうちに感染している可能性があります。





子宮頸管炎、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤腹膜炎、肝周囲炎に伸展することがあり、不妊症、流産・早産、産道感染(新生児結膜炎、新生児肺炎)の原因となります。



診断された場合はパートナーも同時に治療しないといけません。



2. 淋菌感染症(淋病)

淋菌による感染症です。

女性では帯下が増加することがありますが、自覚症状がないことが多いです。



男性は尿道炎による激しい排尿痛を訴えます。咽頭に感染した場合は症状がありません。

クラミジアと同様に子宮頸管炎、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤腹膜炎、肝周囲炎に伸展することがあり、不妊症、流産、早産、産道感染の原因となります。







薬剤耐性が問題となっており、治癒に時間がかかる場合があります。診断された場合はパートナーも同時に治療しないといけません。




3. 性器ヘルペス


単純ヘルペスウイルスにより感染します。外陰部に痛みを伴う浅い潰瘍、水泡ができます。発熱、全身倦怠感を伴うことがあります。








感染すると神経節に潜伏し、たびたび活性化して症状がでます(再発)。治療は抗ウイルス薬内服です。





4. 尖圭コンジローマ


ヒト乳頭腫ウイルス(HPV6型、11型)により感染します。外性器や肛門周囲に23mmのイボが多発します。痛みやかゆみはありません。


産道感染(若年性再発性呼吸器乳頭腫症)の原因となります。治療には塗布薬、外科的治療があります。

コンドームを使用することで、STDの多くは予防できますが、オーラルセックスで感染することもありますので注意が必要です。

知らないうちに感染していたり、感染させてしまったりしているかもしれません。
性交渉の経験がある方は定期的に検査することをお勧めします。





今はネットでも検査キットが購入できます。病院を受診するのに抵抗がある方は、そのようなものを利用してもいいかもしれません。

自分の体はもちろんですが、大切なパートナー、家族をSTDから守りましょう。


Q: ワクチンで予防することはできるのですか?


A: 尖圭コンジローマだけは、HPVワクチン(4価)で予防できます。その他の病気はワクチンがありませんので、自分で予防することが大事です。

Q:クラミジアの検査はどのように行うのでしょうか?


A: 腹痛や帯下の増加がある場合は、子宮頸管粘液を採取し検査します。咽頭感染が疑われるときは咽頭粘液やうがい液を採取します。現在症状がなく、過去の感染を調べたいときは採血でクラミジア抗体の値を調べます。当院では子宮頸管粘液検査、採血検査を施行可能です。保険適応外になることもありますので、医師に確認してください。